←前のページへ 次のページへ→
NT300形

交通システム工学科1年 7080番 抜井 翼

1. はじめに

 今年度に入学した筆者は初めて会誌を書くことになった。しかし、高校でも同じように部誌を書く機会があったので特に大変とは思わなかった。しかし、少々手間取ったのはテーマ決めかもしれない。高校では指定されていたが、今年のテーマは「新型車両」というテーマであった。車両系なら自分の乗ったことがある車両を書くのが一番だと考え、他人と被らなそうな、のと鉄道にしたわけだがこれが写真のないこと。そんなわけで写真がすくない記事であるが最後までお読みいただければ幸いである。


2. のと鉄道について

 石川県の七尾〜穴水間の33.1kmの路線である七尾線の1路線のみ所有する。七尾〜和倉温泉間はJR西日本との共用区間となっている。元々、国鉄民営化の際に赤字路線として廃線になりかけていた国鉄能登線の存続させるために第三セクターとして設立されたのが始まり。開業当初は能登線の1路線のみを所有しており経営は黒字傾向であった。しかし、現在所有する七尾線の経営を引き受けた頃から赤字が続き、能登線全線と七尾線穴水〜輪島間が廃止され現在の路線となった。過去は能登線までJRとの直通列車あったが、現在では電化されている和倉温泉駅まで特急列車が数本となっている。タイアップとして沿線がモデルになっているアニメ「花咲くいろは」や、輪島市出身の漫画家永井豪さんの漫画作品のラッピング列車が走っている。



写真1 穴水駅に到着後の「花咲くいろは」ラッピング車両と、留置されているNT302


3. NT300形について

 のと鉄道が北陸新幹線開業後に能登への観光客招致のための観光列車用の車両。近年、各地でJRや私鉄の観光列車が多く運行開始しており、この車両も同じような扱いである。しかし、他の鉄道会社は既存車両を改造して観光列車を作ることが多いが、この車両は観光列車用のために新造されている。その点を見る限り、のと鉄道のこの観光列車への力の入れ具合が見て取れる。車体はのと鉄道を走る普通列車用のNT200ほぼ同じで違うのは車体カラーと内装くらいである。ちなみに製造しているのは、地方の私鉄気動車の大半のシェアを占める新潟トランシス製。なので、顔に関しては一度くらいどこかで見かけているかもしれない。




写真2 七尾駅に停車中のNT301


4. 車内と外観

 先ほども紹介したように形はほとんど一緒で色と内装くらいしか違わないのでそこを紹介していく。NT301、NT302の2両のみ在籍しておりそれぞれ内装が少し異なる。座席は両車とも穴水側はボックスシート6箇所と穴水方向に常に向く二人がけシートが2箇所、七尾側は海方向を向くシートとなっており、二人がけシートが3箇所とソファーシートが設置されている。ソファーシートの隣にはNT301にはサ-ビスカウンター、NT302では車椅子対応トイレが設置されている。シートカラーはNT301では「里山」をイメージするオレンジでNT302では「里海」をイメージする青色となっている。また車内のヘッドレストカバーには能登上布が使われるなど、車内は輪島塗や田鶴浜建具などの沿線の伝統工芸品によって美しく彩られている。車体の色は能登の海をイメージした「日本海ブルー」と能登の大地をイメージしたえんじ色のアンダーラインとなっている。ちなみに日本海ブルーはかなり濃い紺色であり、日に当たると美しい海色が見られる。




写真3 ソファーシートからとったNT301車内


5. のと里山里海号

 NT300形気動車によって運転されるのと鉄道の観光列車名で2015年4月29日から運転を開始した。列車名は公募の結果から採用された。コンセプトは、「能登の里山里海が織りなす風景と旬の味を楽しむ」、「能登のぬくもりや懐かしさを感じる」観光列車。休日だけではなく平日も運転しているという珍しい運転を行っている(ただし、毎週水曜日は点検日のため運休)。七尾駅で七尾線の観光列車「花嫁のれん号」と接続して、能登半島をスムーズに、より楽しく移動できるようになっている。休日と平日で2つのコースがあり、休日は「ゆったりコース」、平日は「カジュアルコース」で運転をおこなっている。


5.1 ゆったりコース

 休日運転。全席事前予約制の観光列車で、NT301+NT302の編成で運転される。料金は乗車券込み1500円で、翌々日まで使える帰りの片道乗車券もサービスとしてついてくる1日5本の運転で、七尾→穴水が1本多い。全便でアテンダントが乗務し沿線の紹介や車内販売が行われている。乗降は七尾・和倉温泉・穴水のみ可能でその他の駅では乗降できない。ダイヤ上では平日に走っている普通列車のダイヤを使って走行するため、普通列車を運休させて走らせているというこれも他の鉄道会社にない運転方法となっている。もちろん観光列車のため追加料金を支払い車内で食事を楽しめるプランも用意されている。途中の能登中島駅では全国で2本しか現存しない鉄道郵便車「オユ10」を見学できる。また、車内のポストに郵便物を投函すると、特別日付印が押されて郵送される。また、沿線3か所のビューポイントで停車・徐行運転を行い能登の風景を眺めることが出来る。


5.2 カジュアルコース

 水曜と指定日を除く平日運転。こちらは予約不要で当日先着順に乗車整理券300円を買えば乗車可能(全席自由席)だが、運賃は別払いとなる。こちらは普通列車にNT301かNT302を連結して運転されるので、普通列車を運休することはない。運行本数は休日と変わらず、アテンダント乗務や「オユ10」見学なども休日同様に行える。むろんビューポイントにも停車するが普通車に乗っている乗客にしたらどんな心境なのだろうか(両コースとも通常の列車より片道20分多くかかる)。筆者はこちらのコースに乗車したのだが、平日とあって空いていた。そのため少しずつ座席を移動して景色を楽しむことが出来た。




写真4 駅名標と「オユ10」


6. おわりに

 現在日本各地の鉄道路線で観光列車が続々と登場している。各社それぞれデザインや内装を見比べてみれば、各社の沿線の工芸品や風景のイメージが見えるかもしれない。今回紹介したのと鉄道にぜひ1度乗車していただきたい。そこでいままで気づかなかった能登の新しい景色や出会いが見つかるかもしれない。


参考文献

のと鉄道観光列車のと里山里海号公式サイト
http://satoyama-satoumi-go.net/index.html 2017年8月参照
− 20 −

←前のページへ ↑このページのトップへ↑ 次のページへ→