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西武池袋線の新2000系

交通システム工学科3年 5037番 河原田 洸太

1. はじめに

 1977年に登場した西武2000系電車。2017年現在、西武有楽町線・多摩川線・山口線以外の全線で使用される西武鉄道の主力電車である。昭和中期から西武沿線の宅地開発が進んできたため、通勤輸送に特化する必要があった。そのため、乗降時間の短縮を図るため、西武初の4扉車(戦災復旧による国鉄払い下げ車両を除く)として製造され、製造車両数は西武鉄道で最多の436両が製造された。


2. 新2000系とは

 2000系には、1977年から製造されている「2000系」と1988年から前面デザインなどをモデルチェンジした「新2000系」の2つに大別される。外観が別形式のように刷新されたが、電装品や走行機器などが共通設計であり、形式は「2000系」として一括りにされている。2・4・6・8両と多彩な編成があり、フレキシブルな輸送形態に対応が可能であり、以下では西武池袋線における輸送形態について触れていく。



写真1 2000系と新2000系


3. 編成両数による概説

3.1 『8連車』



写真2 8連車

 2017年現在、池袋線には10編成所属している。
 新2000系製造時、西武池袋線椎名町駅〜桜台駅、豊島園駅のホーム有効長が8両編成分しかなかったため、池袋線用として8連車が製造された。2009年頃から椎名町駅〜桜台駅において10両編成対応のホーム延伸工事が行われたが、豊島園駅においては延伸工事が行われなかったため、現在も各停列車は8両編成のままである。そのため、池袋線では新2000系8連車は重宝され、各停運用によく就いている。


3.2 『4連車』



写真3 4連車

 2017年現在、池袋線には3編成所属している。
 4連車は柔軟な運用に対応でき、拝島線・国分寺線・西武園線・西武多摩湖線などの支線が多い西武新宿線系統で増備されたため、当初池袋線系統への所属は無かった。池袋線の支線である狭山線の運用は、前々から新101系4連車で賄ってきたが、車両の老朽化により新101系4連車は続々と運用を離脱、2010年に243Fが廃車されたことにより、241F1編成のみが残るまでになった。狭山線の運用上、最低でも2編成必要なため、それを機に新2000系4連車が池袋線に予備を含めて2編成転属してきた。241F廃車後はもう1編成転属してきている。


3.2.1 震災の影響

 2011年3月11日、東日本大震災が発生した。震災により福島第一原子力発電所が被災、未曾有の電力不足に東京電力は首都圏で計画停電を実施し、首都圏各鉄道会社に節電を求めた。そのため、暫定的に西武豊島線は終日豊島園〜練馬の折り返し運転とした。しかし、練馬駅の折り返し線は4連車までにしか対応していないため、狭山線でしか見られなかった4連車が2008年以来久々に、新2000系4連車としては初めて池袋線都心方面に進出してきたのである。



写真4 震災による豊島線の4連車運転

 これにより、狭山線に加え、豊島線でも4連車での運転が増えたため、新宿線から池袋線にさらに2編成が転属してきている。4連車は新宿線系統と狭山線の方向幕しか無く、豊島線折り返し運転当初は白幕で対応していたが、数日後に池袋線系統幕に取り替えられた。


3.2.2 その後

 豊島線の折り返し運転を解消したが、池袋線系統幕に取り替えたためか、しばらくはそのまま池袋線に残され、2連車+4連車+4連車で優等運用や4連車+4連車で各停運用に入っていた。



写真5 2連車+4連車+4連車での準急電車


 2015年秋頃にこの編成組成は終了し、計5編成から3編成を残して新宿線に再転属していった。


3.3 『2連車』



写真6 2連車

 2017年現在、池袋線には4編成所属している。
 一時期、2451F-2465Fの全8編成が池袋線所属となり、8連車と連結して優等運用に就いていた。しかし、6両編成しか入線できない国分寺線用として運用されていた3000系6両2編成が2014年度に廃車されたことにより、6両編成を組める車両の不足が生じていた。不足する6両編成を組むには4連車+2連車を連結する必要があり、4連車は新2000系しかいないため、池袋線の新2000系2連車が抜擢された。このことから、2451F-2457Fの計4編成が池袋線から新宿線へと転属していった。そのため、現在の池袋線には2459F-2465Fの4編成しかおらず、全盛期の半数にまで減った。代わりに30000系2連車が新宿線から転属し、30000系8連車と連結して優等運用に就いている。


参考文献
  1. 西武鉄道電車図鑑-2000系-  2017年8月参照
    https://www.seiburailway.jp/fan/zukan/2000/index.html
  2. 西武車両編成表  2017年8月参照
    http://www.geocities.jp/number_of_formation/save-formation.html
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