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交通システム工学科 1年 7063番 鈴木 夏輝 |
1. 大阪環状線 大阪環状線は大阪、天王寺、鶴橋、京橋など19駅を環状に結ばれた路線で、首都圏における山手線に相当する路線といえる。大阪環状線では阪和線、関西本線や桜島線との直通もあり、各停だけでなく、快速や区間快速まで種別も様々であるのが特徴である。また、大阪市内観光でもこのJR大阪環状線と大阪市営地下鉄御堂筋線の2つの路線で行けることや大人気スポットであるユニバーサルスタジオジャパンへの交通手段としても利用され、京阪神における代表的な路線の存在となっている。なお、大阪環状線内では直通運転により阪和線や関西本線の車両など多くの車両が行き交うが、この記事では大阪環状線・桜島線専用の車両である323系を中心にピックアップする。 ここで、大阪環状線と山手線の大まかな違いを以下に示しておく。
2. 大阪環状線の車両について ・323系 2016年12月24日から大阪環状線への定期運用を開始した。のちに、桜島線(ゆめ咲き)線への運用も始まる。車両は8両、3ドア、オールロングシートでステンレス製車両となっていて、ドアの位置や動作状況を把握できるように黄色の線が引かれている。外見上、車両の形態は阪和線や東海道線で使用されている225系と類似している。また、運用初日はクリスマスイブであったこともあり、車体側面の行先表示がクリスマス仕様の表示がされていたことでも有名だ。また、車両内部の面ではLED化、無線LANサービスの提供、自動放送(2言語)や(4言語の)案内ディスプレイの設置がなされた。8両編成21本を2016年度から2018年度にかけて投入を予定している。 ・103系、201系 8両、4ドア、オールロングシートで銅製車両である。103系では緑色の山手線や青色の阪和線などでもかつて使われていた車両でもあった。しかし、201系の登場にともない、環状線内に残された103系車両はわずかとなった。一方で、201系は2005年12月から網干総合車両所から青色の車体で登場したがのちに環状線本来の車体色であるオレンジ色の車両となった。国鉄時代から長い歴史を経てきたが、今後、大阪環状線では323系の完全導入によって103系と201系による運用は終了することとなる。 写真1 JR西日本323系 先頭車両にはオレンジ色の円のマークが特徴である 写真2 JR西日本225系5100番台 阪和線で運用されている車両である 写真3 JR西日本201系 写真4 JR西日本103系 3. 導入の経緯 JR発足後、首都圏内のJR在来線ではほぼすべての路線で新型車両への置き換えが進み、京阪神エリアにおいても東海道線や阪和線などの路線においても新型車両への置き換えが行われた。しかし、大阪の代表路線といえる大阪環状線では置き換えが行われておらず、国鉄時代の車両を使い続けてきた。現代人からすれば山手線との比較で車両が古いという意見も出ていた。また、車両だけでなく駅においても同様であった。首都圏では駅ナカが開発されていく中で、大阪市の駅は見劣るところもあり、暗いイメージを与えていた。かつ、環状線利用者数も1995年をピークに減少傾向にあった。そこで、大阪市と協力して行ったのが『大阪環状線改造プロジェクト』で、大阪環状線のイメージアップを図るものだ。このプロジェクトの項目として「車両新製」、つまり、これが323系への置き換えである。車両は従来の大阪環状線のオレンジ色を保ち、バリアフリー対応の充実として車内の優先席にはひじ掛けで仕切られた。このほかにも、情報提供の充実としてこれまで環状線車内にはなかった液晶モニターを設置。また、ドアの出入り口付近を拡大し、ドア付近の座席部分を三角形にすることで両端においてもゆったり座れるようになった。加えて、車両はすべて3ドア車で直通運転する大和路線や阪和線とドア数がそろい、ホームドアの設置も加速化していくこととなる。このほか、駅の整備としては環状線内全駅に駅メロが備え付けられた。 なお、この大阪環状線改造プロジェクトと323系については2016年9月29日にグッドデザインを受賞している。 4. 終わりに 大阪環状線は首都圏の山手線とはまた変わった雰囲気、歴史の重みがあってのこの路線である。ぜひとも、大阪環状線を車両や駅の雰囲気など比べるとまた別のおもしろみが感じられるだろう。今後の大阪環状線内の活性化・活躍を祈るところである。 5.参考文献
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