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〜 房総の主役たち 〜

交通システム工学科 2年 6142番 渡部 秀哉

1. はじめに

 特急列車といえば、その路線を代表する列車である。今回は、全国を走る特急列車の中で、千葉県の房総を走る特急列車についてクローズアップしていきたいと思う。現在、房総を走る特急列車は、内房線の「さざなみ」、外房線の「わかしお」、総武本線の「しおさい」である。過去には成田線や鹿島線の「あやめ」、「すいごう」もあった。


2. 使用車両

【183系(過去)】
 183系は総武本線の東京地下駅が開業した1972年7月のダイヤ改正でデビュー。幕張車両センター所属。この改正では、外房線の電化完成もあり、それまでの両国駅や新宿駅発着で運転されていた千葉・房総方面の急行を特急に格上げ、東京発着とする際に開発された。房総方面を始め、伊豆方面の「踊り子」、信州方面の「あずさ」などにも使用されていた。2004年10月のダイヤ改正で「さざなみ」、「わかしお」の運用から撤退し、2005年12月のダイヤ改正で「しおさい」、「あやめ」の運用から撤退した。



写真1 183系


【255系】
 1993年7月にデビュー。183系の代替用として開発された。幕張車両センター所属。グリーン車付きの9両固定編成。房総各方面へは行楽客や出張そして朝夕の通勤客など様々な利用があり、これら全ての需要を満たす車両として登場した。「Boso View Express」の車両愛称が付けられ、255系で運用される列車は列車名も「ビューさざなみ」、「ビューわかしお」として呼び分けられていたが、2005年12月のダイヤ改正から「ビュー」が外されている。現在は、「さざなみ」、「わかしお」、「しおさい」や臨時の「新宿さざなみ」、「新宿わかしお」として運用されている。



写真2 255系


【E257系】
 183系の置き換え用として2004年10月のダイヤ改正で「さざなみ」、「わかしお」、2005年12月のダイヤ改正で「しおさい」、「あやめ」としてデビューした。幕張車両センター所属。房総地区用にモデルチェンジした500番台が使われている。全て1編成5両で統一、2編成を連結して10両で運転する列車もある。現在は「さざなみ」、「わかしお」、「しおさい」や臨時の「新宿さざなみ」として運用されている。



写真3 E257系500番台


3. 現在走っている特急

  • 「さざなみ」、「新宿さざなみ」
 1972年7月15日より運転開始した内房線の特急列車である。当初、東京から蘇我間は総武本線、外房線経由であったが、1991年、都心と成田空港を結ぶ特急「成田エクスプレス」の運転開始により京葉線経由に変更された。近年は東京湾アクアラインや館山自動車道の開通により利用者が減少し、現在、平日は東京と君津間の「さざなみ」下り5本、上り3本と土曜休日は新宿と館山間の「新宿さざなみ」2往復だけとなっている。



写真4 東京湾を横目に走るさざなみ号


  • 「わかしお」、「新宿わかしお」
 1972年7月15日、外房線の蘇我から安房鴨川間の電化に伴って運転開始した。当初は「さざなみ」と同じ総武本線経由であったが、京葉線経由に改められている。2014年の夏には、豊田車両センター所属の189系を使用した臨時列車も運転された。現在は東京と上総一ノ宮、勝浦、安房鴨川間の「わかしお」12往復と土曜休日に運転される新宿と安房鴨川間の「新宿わかしお」1往復となっている。



写真5 189系によって運転された臨時わかしお号


  • 「しおさい」
 総武本線の全線電化完成の翌年1975年3月10日より運転開始した。東京と本州最東端の銚子間を主に結んでいる総武本線の特急列車である。現在は東京と佐倉、成東、銚子間の7往復となっている。



写真6 快晴の空の下疾走するしおさい号


4. 過去走っていた特急

  • 「あやめ」
 成田線の全線電化完成の翌年1975年3月10日より運転開始した。東京と銚子、鹿島神宮間を結ぶ成田線、鹿島線の特急列車で、東京から佐原間が特急列車、佐原から銚子、鹿島神宮間は普通列車として運転されていた。2015年3月13日に定期運行を終了した。

  • 「すいごう」
 1982年11月15日、それまで走っていた急行「水郷」を格上げするかたちで特急「すいごう」が登場した。成田線経由で東京と銚子を結び、東京から佐原間が特急列車、佐原から銚子間は普通列車として運転されていた。2004年に「あやめ」に吸収されて廃止となった。



写真7 2016年に開催された幕張車両センターの一般公開にて展示された
「あやめ」と「すいごう」



5. 最後に

 40年以上の歴史のある房総特急であるが、「あやめ」や「すいごう」は廃止、「さざなみ」も減便され、館山直通に関しては風前の灯火であり、「わかしお」や「しおさい」も今後どのようになるのか気になるところである。筆者の馴染みのある特急列車たちであるので、今後も注目していきたい。



写真8 現在活躍している房総特急の車両たち


参考文献
  1. 交友社「鉄道ファン」2009年8月号 2017年8月参照
  2. 朝日新聞出版「週刊歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR」総武本線/成田線/鹿島線/東金線 2017年8月参照
  3. 朝日新聞出版「週刊歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR」内房線/外房線/久留里線 2017年8月参照


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